コーヒーのお味はいかが?
もう、一般外来は終わってる時間。

ここの病院は救急外来もやっているから、そっちに行こう。

救急外来は、確か受付のとこだ。


「僕。受付の場所、わかる?」

「わかる!こっちだよ」


張り切って案内を始めてくれた男の子の背に、小さな笑みが零れた。


「病院、詳しいんだね?」

「うん。入院して、もう1年経った」


背を向けている男の子が、どんな顔をしているかわからない。

でも声色は、寂しそうだった。


「凄いね」

「え?」


あたしの言葉に足を止め、男の子は不思議そうに振り返る。


「だって、凄いじゃん!1年も、病気と闘ってるんだもん。カッコいいね、僕」

「僕じゃない。文哉(ふみや)」


恥ずかしそうに、文哉くんは名前を教えてくれた。

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