コーヒーのお味はいかが?
「文哉くんに怪我はないから大丈夫」

「怪我したのは、結可でしょ。大丈夫なの?」


うん。と、あたしは頷く。


「とりあえず、早く診てもらいなよ。文哉くんはあたしが引き取るから」

「ありがとう」

「ほら、文哉くんは病室戻るよ」


そして理緒は、文哉くんと一緒に歩き出す。

帰り際、文哉くんは振り返り、小さく手を振った。

そんな文哉くんに、あたしも笑顔で手を振り返した。

そしてあたしは救急外来へと、再び足を進めた。


「橘さん。橘結可さん」


名を呼ばれ、診察室へと足を踏み入れる。

男の医者かぁ。

少しだけ抵抗があったが、抵抗するわけにもいかず、素直に右肩を診せた。

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