闇色のシンデレラ
子どもの後を追って現れ出た声の主。


黒髪に志勇と同じくらいの高身長。すらりとした体型に見合う、すっきりとした顔立ち。


組長さんの側近の司水さんだ。



「申し訳ありません、うちのせがれが……」



彼はわたしたちの前に止まると、丁寧に腰を曲げた。


別に迷惑じゃないけど、ひとまず同じ行動をしておこう。



「あ、こんにちは……えっ?」



せがれって、この子、司水さんの息子なの!?



「憂雅、こっちに来なさい」

「やあだ、だっこしてもらうの!」

「憂雅」

「……むう」



司水さんに諌いさめられたことにより、わたしの服をぎゅっと掴み、唇を尖らせてうつむく憂雅くん。


よく見ると口をもぐもぐさせて、言いたいことを我慢してるんだって分かった。


その仕草はわたしが幼い頃、まだシンデレラに憧れていたときと重なって、胸が苦しくなった。


思い出したくなくて、この子に応えてあげたくて、小さな身体をそっと抱き上げた。



「よいしょ」

「……うわぁ〜!」



身体を持ち上げた直後、会心の笑みを弾けさせる憂雅くん。


喜んでもらえたのはいいけど、結構重い。あんまり長い間抱っこはできないかもしれない。



「おねえちゃんなまえは?」



既にプルプル震えてる腕の筋力の無さを痛感しながら、目線が同じになった憂雅くんの顔を観察。


あんまり司水さんと似てないなあ。親子だからって必ずしも似るものとは限らないけど。


どっちにしろ綺麗なお顔はイケメン要素が満載だね。



「ねえねえ、おねえちゃんのなまえは?」

「……ん?壱華だよ」

「いちか、壱華ね!あのね、おれは憂雅っていうの。鳴海憂雅!」



名前を教えると、自己紹介してくれた憂雅くん。


太陽みたいに眩しい笑顔にほっこりした。
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