闇色のシンデレラ
SIDE 司水
「へえ。志勇って、イタズラっ子だったんですね」
「イタズラなんて可愛いもんじゃないっすよ。あんな綺麗な顔して、寿命が縮むようなことを平気で仕出かすんで」
「そっか、そっかあ」
昔話を語るなり、ほのかに頬を紅潮させて、かすかに口角を上げる志勇の唯一。
初めて見る彼女の微笑みに胸が高鳴った。
普段笑わない人間が笑うと心持ち華やかになるが、目の前のそれは他人の比ではない。
心を根こそぎ持っていかれるような——この表現が正しいだろう。
今なら、分かる。
どうして志勇がこの娘を選んだのか。
俺が口にした『分かった気がする』というのは、彼女に対してのことだ。
見ず知らずの人の心を、俺の心に潜むわだかまりを氷解してみせた。
それは偶然だろうとそうでなかろうと、俺の境遇を通じて彼女の本性を暴くには十分だった。
「壱華様」
「はい」
しかし、隠された黒い部分を探そうと疑うどころか。
「姐さんのところへ、参りましょうか」
久しく感じていなかった慈愛に触れ、彼女に心を許してしまった俺は本物の馬鹿だ。
はっきりと告げると、彼女の大きな黒い瞳が、宝石のようにキラキラと揺れる。
「でも、組長さんといるって……」
「構いません、あなたなら」
「……いいんですか」
「ええ、ご案内します」
もし、彼女が誰のものでもなかったとしたら。
もし、この娘が『重要人物』でなく、ただの人の子だったら。
俺は間違いなく、志勇と同じく彼女を守ることに専念だろう。
それほど魅力的で、儚げで、芯の強い女だ。
志勇にふさわしいのは、本当に彼女なのかもしれない。
「へえ。志勇って、イタズラっ子だったんですね」
「イタズラなんて可愛いもんじゃないっすよ。あんな綺麗な顔して、寿命が縮むようなことを平気で仕出かすんで」
「そっか、そっかあ」
昔話を語るなり、ほのかに頬を紅潮させて、かすかに口角を上げる志勇の唯一。
初めて見る彼女の微笑みに胸が高鳴った。
普段笑わない人間が笑うと心持ち華やかになるが、目の前のそれは他人の比ではない。
心を根こそぎ持っていかれるような——この表現が正しいだろう。
今なら、分かる。
どうして志勇がこの娘を選んだのか。
俺が口にした『分かった気がする』というのは、彼女に対してのことだ。
見ず知らずの人の心を、俺の心に潜むわだかまりを氷解してみせた。
それは偶然だろうとそうでなかろうと、俺の境遇を通じて彼女の本性を暴くには十分だった。
「壱華様」
「はい」
しかし、隠された黒い部分を探そうと疑うどころか。
「姐さんのところへ、参りましょうか」
久しく感じていなかった慈愛に触れ、彼女に心を許してしまった俺は本物の馬鹿だ。
はっきりと告げると、彼女の大きな黒い瞳が、宝石のようにキラキラと揺れる。
「でも、組長さんといるって……」
「構いません、あなたなら」
「……いいんですか」
「ええ、ご案内します」
もし、彼女が誰のものでもなかったとしたら。
もし、この娘が『重要人物』でなく、ただの人の子だったら。
俺は間違いなく、志勇と同じく彼女を守ることに専念だろう。
それほど魅力的で、儚げで、芯の強い女だ。
志勇にふさわしいのは、本当に彼女なのかもしれない。