闇色のシンデレラ
西の血を引く?


意味が分からない。




「知らなかったんだな。やはり隠し続けていたのか……」



誰が、何を隠蔽していたというの?



「……詳しくは移動しながら話したらどうだ、理叶」

「ああ、そうだな……。
今は荒瀬の統括地から離れるべきだ」



カツカツと、足音が徐々に大きくなってくる。


はっとすると、理叶と光冴が距離を縮めていた。



「……やめて」



なぜ、今になってわたしと志勇を引き離そうとするの?



「壱華に死なれては困るんだ。
それにこれは俺の独断じゃない。
壱華を守るため、組が考えたことだ!」

「やめて!来ないで!何も言わないで!」

「頼む、今だけでも聞いてくれ。
もう一生恨んだっていいから!」

「来ないでっ!」



渾身の叫びを上げ、逃げようと駆け出した───そこに、「ビー」とブサー音が辺りの音をかき消すように鳴り響いた。


これは駐車場のシャッターが開く合図の音だ。


つまり志勇が帰ってきたということ。


ああ、よかった。助かったと緊迫した中で少しの希望が見えた刹那───













ダンッ。シャッターの外から突如、耳を覆いたくなるような大きな音がした。


鼓膜を震わすこの音。わたしはこれを知ってる。


乾いた忌むべき音。左腕がうずく音。








それは銃声、だった。
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