独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
今からって……。
腕時計に視線を走らせると、針は午後十時を差していた。
今どきの中学生が何時に寝るのか知らないけれど、こんな遅い時間に家を訪ねるのは明らかにマナー違反だ。
「さて、行こうぜ」
「いや、遠慮しておく」
通話を終わらせた誠に向かって、首を左右に振る。
「なんで?」
「なんでって、もう遅いし……」
誠が財布から五千円を出してテーブルの上に置き、イスから立ち上がると居酒屋から出ていってしまった。
「まったく……」
最後まで人の話を聞かない誠にあきれつつ、会計を済ませて後を追う。
「おい、樹! 早く乗れよ」
居酒屋の前の道路の路肩に停まっているタクシーの中から、誠が声をあげた。
いつの間に……。
完全に振り回されていることを悔しく思いながら、タクシーに向かうと後部座席に渋々乗り込んだ。
俺たちを乗せたタクシーは平日の遅い時間ということもあり、とくに渋滞もなく誠の家に到着した。
こうなったらサクッと挨拶して帰ろう……。
覚悟を決めてタクシーから降りた。