独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
「樹、こっち」
「ああ」
シャッターが閉まったガレージの前を通りすぎ、レンガ造りの重厚感がある建物に向かって歩く誠を追いかける。
さすが院長の自宅。豪邸だ。
「ただいま」
長いアプローチを進み、誠が大きな玄関ドアを開けてしばらくすると、広々としたホールに綺麗な女性と少女が姿を現した。
「おかえりなさい」
淡いブルーのブラウスにタイトスカート姿の女性が、にこやかに微笑む。
物腰がやわらかく気品がある女性がきっと、誠の母親なのだろう。
「はじめまして。誠君と同期の桐島樹です。突然押しかけてしまってすみません」
深々と頭を下げた。
「誠の母でございます。こちらこそ、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
「い、いいえ」
院長夫人でもある誠の母親の丁寧な挨拶が心苦しい。
これ以上気を遣わせはいけないし、外にタクシーを待たせている。
「それではこれで……」
長居は無用だと思い、帰ろうとした。けれど……。
「おい、樹。コイツが妹の華だ」
俺を呼び止めた誠が妹の肩に腕をのせ、満面の笑みを浮かべる。