独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
その数日後。食堂で昼食をとっていると、誠が隣の席に座った。
「どうだった? 俺の自慢の妹は」
「……お前に似てなくてよかったな」
「ん? どういう意味だ?」
誠が首をひねる。
「……」
遠回しにかわいいと言ったつもりだったのに、どうやら通じてないようだ。
『お前の妹、かわいいな』と、サラリと褒めればいいのに、どうしてそれができないのか、自分でもよくわからない。
ただ、天使のような愛くるしい姿を思い返すたびに、心が癒されるのを実感した。
「おふくろに樹がひとり暮らししてることを話したら、家に連れてくるように言われたんだけど、今度の日曜って休みだよな?」
誠に聞かれ、「ああ」とうなずいた。
「それなら昼頃、顔を出せよ。おふくろが、おいしいもの作るって張り切ってるからさ」
きっと、ろくなものを食べてないと思われたのだろう。
高校を卒業してすぐに上京したため、ひと通りの家事はこなせる。けれど研修医になってからの日常は忙しく、自炊が面倒くさく感じるときはコンビニ弁当で済ませる日もある。
誠の母親の厚意をありがたく思うと同時に、日曜日は妹が家にいるのかが気になり箸が止まった。
「わかった。あのさ……」
「ん?」
「……いや、なんでもない。日曜日楽しみにしてるよ」
「おう!」
どうして彼女のことが、こんなに気になってしまうのだろう……。
戸惑いながら再び料理に口をつけた。