独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
「お疲れ」
紅茶とショートケーキがのったトレイを持った誠が、リビングに姿を現した。
腕時計に視線を向けると、針は午後三時半を差している。二時に勉強を始めたから、一時間半も集中していたことになる。
中学一年生の問題といっても、中には難問もある。さすがに疲れたな……。
首を左右に動かすと、固まった肩がコキコキと鳴った。
一方の彼女は「おやつだぁ!」と声をあげて、教科書とノートを片づけ始める。
その俊敏な動きを見て、思わず「若いな……」と、つぶやいている自分に気づいた。
いやいや、俺だってまだ充分若いだろ。あー、なにしてんだ。俺……。
心の中でなにに対して葛藤しているのかわからなくなっていると、目の前に紅茶とケーキが置かれた。
「どうぞ」
「ありがとう」
彼女のはにかんだような笑顔につられ、口もとが勝手に緩んだ。
三人でテーブルを囲み、ティータイムが始まる。
「ん~、おいしい!」
頬に手をあてて満面の笑みを浮かべる彼女を、微笑ましく見つめた。
「ほら」
「ありがとう」
誠がショートケーキのイチゴを、彼女のお皿にのせる。
大きな口を開けてイチゴをパクリと頬張る様子を見て、ようやく気づいた。
そうか。イチゴが好きだったのか……。