独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
真っ先にイチゴを食べてしまったことを後悔しながら、ケーキと紅茶を口に運ぶ。
またショートケーキを一緒に食べる機会があったら、今度こそはイチゴをあげよう……。
そう心に固く誓った。
それにしても、今日はとても楽しかった。
心も腹も満たされた充実感に浸っていると、誠に声をかけられた。
「おふくろが夕食も一緒にどうぞ、だってさ」
「ありがたいけど、今日はこれで帰るよ」
「そうか」
「ああ」
接待ゴルフに出かけていた院長も直に帰ってくるだろうし、家族水入らずのひとときを邪魔しては申し訳ない。
さあ、そろそろ帰ろう。
ソファから立ち上がったとき、隣にいた彼女にシャツの裾をチョンと掴まれてしまった。
「あの……。また勉強見てくれますか?」
思いがけないお願いを聞いて驚いたものの、苦手な数学を克服したい気持ちがあるのなら力になりたいと思った。
「もちろんいいよ」
「ありがとう」
彼女の目線に合わせて腰を屈める。するとシャツの裾を掴んでいた手がパッと離れ、頬が見る見るうちに赤く染まった。
兄の友人である俺に、つい馴れ馴れしくしてしまったことが恥ずかしかったのだろう。
そんなに照れることないのに……。
「どういたしまして」
かわいらしい妹がいる誠をうらやましく思った。