独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
楽しい夕食を終えてキッチンで後片づけをしようとすると、樹先生が背後に立った。
「片づけは明日俺がするよ」
「でも……」
散らかったままでは落ち着かないし、樹先生ひとりに任せるのは気が引ける。
躊躇っていると肩に手がのり、体を反転させられてしまった。
「今日、華をうちに誘った意味、ちゃんと理解してる?」
腰を屈めて私の顔を覗き込む瞳が熱をはらんでいるのがわかり、求められていることを実感した。
素肌を晒すのは恥ずかしいし、やっぱり痛いのかなと思うと不安になってしまう。それでも、すべてを捧げる相手は彼しか考えられない。
「……はい。もちろんです。樹さん」
婚約者であり、未来の旦那様のことを、いつまでも『樹先生』と呼んでいてはおかしい。
私だけの『樹さん』という思いを込めて名前を呼び、コクリとうなずいた。すると彼が視線を逸らし、口もとを手で覆う。
どうして避けるの? もしかしたら名前で呼ばれるのが嫌だった?
「あ、あの……」
理由がわからず、横を向いてしまった彼の顔を見上げると、ほんのりと耳が赤らんでいることに気づいた。
ひょっとしたら、照れているのかもしれない……。
私のひと言で恥じらいを見せる姿はとても新鮮だ。