独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
「今日、マンションで待っていてもいいですか?」
「それはダメ」
かぶせ気味に即答されても、帰りを待ちたい気持ちは強まるばかり。
「どうして?」
「何時に帰れるかわからないから」
明日は日曜日。私は休みでも、樹さんはおそらく出勤なのだろう。
負担をかけたくない。でも、ほんの少しでいいから一緒にいたい……。
相反する気持ちが心の中で葛藤する。
「十時まで……。十時まで待たせてください」
すがるように樹さんを見つめた。
「……十時をすぎたらタクシーを呼んで帰ること。約束守れる?」
願いが聞き入れられたのはうれしい。けれど自分の思いを押し通してしまったのは、よくなかったかもしれない。
「はい。ワガママ言ってごめんなさい」
小さくなって頭を下げた。
「こんなかわいいワガママなら、大歓迎だよ」
樹さんが朗らかな笑みを浮かべる。
ああ、もう大好き……。
予期せぬ甘い言葉に心を射ぬかれ、ときめきが止まらない。
「じゃあ、そろそろ戻るよ」
「はい。お仕事がんばってください」
「うん。ありがとう」
十時までに仕事が終わることを願いながら、病院に戻っていく樹さんの後ろ姿を見送った。