独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
「先生も一緒に謝るよ」
頭上から降り落ちてきた声に驚き、顔を上げる。そこには優しく微笑む樹さんの姿があった。
彼が悠太君の頭をなでる。
「悠太君、またひとり味方ができてよかったね」
「うん!」
三人で謝れば、怖いもの知らずだ。
「さあ、帰ろうか」
「うん!」
みんなをまとめるように言った樹さんが、背中を向けて腰を落とす。
「先生がおんぶしてあげるよ」
「いいの?」
「もちろん、いいよ」
「ありがとう」
悠太君がうれしそうに、広い背中に飛びついた。
小学一年生の男の子を軽々と背負う樹さんは頼もしいし、照れたような笑みを浮かべる悠太君はとてもかわいい。
あとは綾香さんのもとに無事に送り届けるだけだ。
安堵しながら、ふたりの後をついて行く。けれど、なにか大事なことを忘れているような気がしてならない。
この胸のモヤモヤは、いったいなんだろう……。
頭を悩ませていると、加藤君に連絡していないことをハッと思い出した。
今でも悠太君を捜し続けていると思ったら、申し訳ない気持ちが胸いっぱいに広がった。
バッグからスマホを取り出すと、急いでメッセージを送る。すぐに【了解】という返信が届き、ホッと息をついた。