独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする

「うん。おいしい」

「よかった……」

穏やかな弧を描く瞳を見てホッと胸をなで下ろしていると、なんの前触れもなく唇を塞がれてしまった。

上下の唇を割って、チョコの欠片(かけら)が口内に入ってくる。

「……っ!」

思ってもみない出来事に驚き、慌てて唇を離した。

「おすそわけ」

樹さんの口角がニヤリと上がる。

「も、もう!」

悪戯(いたずら)が成功して喜ぶ子供みたいな彼の胸を軽く叩いたものの、すぐに手首を掴まれてしまった。

「華、いい?」

熱をはらんだまなざしを見ただけで、樹さんがなにを望んでいるのか瞬時に理解した。

「はい」

コクリとうなずくと、大きな手が腰と膝の裏に回る。彼の首に腕を絡ませると、体がふわりと宙を舞った。

< 213 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop