独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
「うん。おいしい」
「よかった……」
穏やかな弧を描く瞳を見てホッと胸をなで下ろしていると、なんの前触れもなく唇を塞がれてしまった。
上下の唇を割って、チョコの欠片が口内に入ってくる。
「……っ!」
思ってもみない出来事に驚き、慌てて唇を離した。
「おすそわけ」
樹さんの口角がニヤリと上がる。
「も、もう!」
悪戯が成功して喜ぶ子供みたいな彼の胸を軽く叩いたものの、すぐに手首を掴まれてしまった。
「華、いい?」
熱をはらんだまなざしを見ただけで、樹さんがなにを望んでいるのか瞬時に理解した。
「はい」
コクリとうなずくと、大きな手が腰と膝の裏に回る。彼の首に腕を絡ませると、体がふわりと宙を舞った。