同期のあいつ
ブブブ。
携帯の着信があったのは、ちょうど白川さんの車に乗り込んだときだった。

さっきから何度もメールが来ているのは気になっていた。
チラッと確認したところ、送信元は髙田。
普段よっぽどのことがない限りメールなんてよこさない人だから、気にはなったけれど無視をした。

ブブブ。
どうやら諦める気はないようだ。

「電話、出ていいよ。急用かもしれないじゃない」
「はい」

鞄から携帯を取り出し見ると、着信が3件。メールが10件以上。
すべて髙田からだった。
どうしたんだろう。
とりあえず内容を確認してみる。

まずは、『今日はごめん』の髙田らしいシンプルな言葉。
『できれば今日のうちに直接謝りたい』『短い時間でいい。どんなに遅くなってもいいから、会いたい』『今どこに居るんだ?』と繰り返されるメール。

クスッ。
どんな顔をしてメールを打っているのかと想像して、つい笑ってしまう。

『今、白川さんと一緒なの。帰ったら連絡します』
それだけ打って送った。

その後、髙田からは着信もメールも来なかった。


ブブブ。
今度は白川さんの携帯が震えた。

「ごめん、ちょっと出るね」
白川さんは近くの路肩に車を止めた。

「もしもし。ああ。そうだけど。はあ?そんなこと俺に言うな。ああ。わかった。でも、お前が話せよ。ああ、わかったから」
なんだかもめているみたい、
「ああ、じゃあな」

電話を切っても、しばらくハンドルを抱えたまま動かない。
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