同期のあいつ
俺は携帯を取り出して鈴木にメールを送ることにした。

『今日はごめん』
まずは気持ちを伝え、返信を待ったが既読にさえならない。
潤と一緒にいると知っている以上、俺のイライラは募っていった。

何度も何度もメールをし、夜9時を過ぎたところで電話を掛けた。
しかし、出てはくれない。
普段の俺はどちらかというと淡泊でしつこく電話を掛けたりするキャラではないが、今夜は無理だ。立て続けに3度も電話してしまった。
それに対してやっと帰ってきた返事が、
『今、白川さんと一緒なの。帰ったら連絡します』

いつになるかわからない帰宅を待つだけの忍耐は俺に残っていない。
反則だとわかっていて、潤に電話をした。

「もしもし、鷹文だ」
『ああ』
「今、鈴木と一緒だよな?」
『そうだけど』
「あいつが電話に出てくれないんだ」
『はあ?そんなこと俺に言うな』
「どうしてもあいつと話したい」
『ああ』
「迎えに行くから、途中の駅で降ろしてくれ」
『わかった』
「それと、あいつにだけは嘘をついたままにはしたくないんだ。お前とのことを話してもいいか?」
『でも、お前が話せよ』
「お前のことと、8年前のことを話すから」
『ああ、わかったから』
潤は呆れているようだったが、了解してくれた。

現在地から最寄りの駅を指定し、車で向かった。
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