同期のあいつ
「あ、あの、一華さんから聞きたい事はありませんか?」
それでも頑張る仲人おばさん。

「白川さんって見た感じモテそうなのに、なんでお見合いをするんですか?何かご事情でも?ほら、色々あるじゃないですか?過去にとんでもない振られ方をしたとか、女性に興味がないとか?」

言いながら最低の女だと思う。
でもこうしなければ、お見合い結婚させられてしまう。

バンッ。
テーブルを叩く音。

振り向いた先に怖い顔をした父さんがいた。

「一華・・・」
地を這うような声。
これで終わったなと思ったとき、

ハハハ。
高らかな笑い声がした。

え?

「一華さんは面白い方ですね。確かに女性の裸は毎日見ているので、なんとも思わないかもしれません」

ええええ。
白川さんの言葉に、今度は私が絶句した。

「潤さん」
向こうのお母様が注意している。

女性の裸は毎日見ているって・・・どういうこと?

「一華さんは僕の話を聞いていませんでしたね?」
「え?」

「僕は最初に医者をしていますと言ったはずですが」

「あ、ああ。だから裸の女性」

「人の話はきちんと聞かないといけません」
「はあ、すみません」
マズイ、ペースを握られている。

「申し訳ありません失礼な子で」
「いえ、こちらこそ。非常識な娘で申し訳ありません.」
父さん同士が謝りだして、私と白川さんはとても居心地が悪い。

「一華さん、少し出ましょうか?」
白川さんの声が助け船に思えた。

「はい」
とにかくここから逃出さないと。
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