同期のあいつ
「おい」
ん?
なんだかとても機嫌の悪そうな高田の声。

「おい」
もう一度聞こえてきて、私はやっと目を開けた。

嘘。
夢じゃなかった。

本当に高田が・・・いた。
それにここは、

「俺んちだ」
「はあ」
なぜ?

えっと、私は自分のデスクで気分が悪くなって、立ち上がろうとして倒れてしまった。
冷たい床が気持ちよくて・・・

ん?
「痛っ」
突然、高田が私の頬をつねった。

「お前が倒れているのを見て死んだかと思ったぞ」
私もこのまま死ぬかと思った。
そのくらい辛かった。

ギュッ。
頬をつねる指に力が加わる。

「高田、痛いから」
「当たり前だ痛くしてる」
一向に止めてはくれない。

「ふざけないで」
「ふざけてない。怒ってる」
「・・・」

きっとここは、『心配掛けてごめんなさい』っていう状況なんだと思う。
でも、私は黙ってしまった。
倒れてしまい高田に迷惑を掛けたのは事実だけれど、私も遊んでいたわけではない。
無理をして取引先を周り、事務処理もこなし、自分の責務をまっとうした。
どちらかというと、よくやったって褒めて欲しいくらい。

ギュッ。
反対の頬にも高田の手が伸び、両頬を引っ張られた。

「い、いらぁーい」
精一杯『痛い』と叫んだ。

「倒れているお前を見て、どれだけ心配したと思っているんだ。反省しろっ」
その表情が辛そうで、すごく心配させたんだと伝わってきた。

「・・・ごめん」
「馬鹿野郎」

最後にギュッと引っ張って、高田の手が頬から離れた。

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