同期のあいつ
いっ痛ーい。
ヒリヒリする頬を両手で押さえながら、私は辺りを見回した。

「今何時?」
「4時」
やっぱり夜中か。

「家は大丈夫なのか?」
「うん」
兄さんは先週からアメリカに行っているし、父さんも大阪へ泊まりの出張。

「今日は大丈夫」
「そうか。じゃあ、もう少し寝ろ。このままベットを使えよ。俺はソファーでいいから」
「う、うん」

見れば、セミダブルのベットに寝かされている私。
ジャケットだけ脱がされて、服は着たまま。

「熱は下がったみたいだけれど、今日は会社を休めよ」
「・・・」
今日も取引先との約束が何件か入っている。

「課長命令」
「でも・・・」
「これ以上言うと、取引先全部外して内勤にするぞ」
「それはダメ」
思わず出た言葉に、高田がクスッと意地悪く笑った。

誰よりも側にいて、私の弱点を知り尽くした同期は、扱いだって思いのまま。
私は諦めて、目を閉じるしかなかった。
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