となりに座らないで!~優しいバレンタイン~
 いつしか、見慣れた風景となったこの場所。


 私は、ベンチに腰を下ろし、色の変わる噴水を見つめていた。


 頬に当たる風が少し暖かく、あの時から一か月が過ぎた事を感じさせた。

 この一か月の出来事が、次々に蘇ってくる。怖い事もあったし、嬉しい事もあった。だけど、はっきりわかるのは、いつもとなりに一也が居てくれたって事だ。


 あの時、一也がとなりに座ってくれなかったら、私はどうなっていたのだろうか? 想像もつかない。だって、一也がとなりに居る道を歩み初めてしまったのだから……


 でも、まだ一か月……
 きっと、これからも色々な事があるだろう……
 だけど、もっと、もっと、色々な一也を知りたい。そして、私も一也のとなりに居たい。


 ドサッと音がして、となりに誰かが座った。


 見なくても分かる。


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