となりに座らないで!~優しいバレンタイン~
おまけ
~山ノ内建設社長~


「お前は、何を言っておるんだ?」

 スマホの向こうで、しきりに訴えているのは、半年ほど前社長になったばかりの、古い友人広瀬の息子だ。

「おじさん、頼む。今夜の飲み会の場所教えてくれよ」


 広瀬の息子一也は、仕事は出来る奴だと思うが、プライベートで会う時はそれなりなのだが、仕事となると、一切表情を変えない。信頼関係を築けるのだが、心を許さない鋭さを持っている。


 その一也が、何を血迷ったのか?
 公私混同は一切しない男なのだが……



「そんな事、なぜ知りたいんだ。お前が、それほど媚をうらにゃならような会社じゃないぞ、うちは」


「そんなんじゃないよ。ああー俺の人生がかかっているんだ!」



「どうでもいいが。飲み会にお前が来る気じゃないだろうな?」


「ダメか?」


「当たり前だ。お前が来たら、社員どもが緊張して飲み会にならん」



「わかった。外で待つ!」


「誰をだ?」


「あっ」

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