となりに座らないで!~優しいバレンタイン~
恐る恐る差し出され手をたどって目を向けると、背が高くがっちりとした体に、グレーのダウン。
ニット帽をかぶった顔は正面を向いたままで、表情は分からないが、整った横顔がネオンの光に映った。
大きな手は差し出されたまま動かない。
「もらってやる」
となりの男はそう言った。
「えっ?」
もう一度、となりの男に目を向けるが、やはり知らない人だ。
「ほら」
男の大きな手の平が、少し上にトントンと上がる。
思わず、その大きな手の上に一粒のチョコレートを乗せた。
かすかに指に触れた、その手は暖かくて、慌てて手を引っ込めた。
「冷たい手だな」
となりの男は、ぼそっとつぶやき、チョコレートを口の中に放り込んだ。
その言葉と、その姿に、サーと血の気が引いた。
急に怖くなって、チョコレートの箱を紙袋に放り投げ立ち上がった。
「おい!」
怖い!
猛ダッシュで、その場を走って逃げた。
ニット帽をかぶった顔は正面を向いたままで、表情は分からないが、整った横顔がネオンの光に映った。
大きな手は差し出されたまま動かない。
「もらってやる」
となりの男はそう言った。
「えっ?」
もう一度、となりの男に目を向けるが、やはり知らない人だ。
「ほら」
男の大きな手の平が、少し上にトントンと上がる。
思わず、その大きな手の上に一粒のチョコレートを乗せた。
かすかに指に触れた、その手は暖かくて、慌てて手を引っ込めた。
「冷たい手だな」
となりの男は、ぼそっとつぶやき、チョコレートを口の中に放り込んだ。
その言葉と、その姿に、サーと血の気が引いた。
急に怖くなって、チョコレートの箱を紙袋に放り投げ立ち上がった。
「おい!」
怖い!
猛ダッシュで、その場を走って逃げた。