となりに座らないで!~優しいバレンタイン~
 広瀬さんは、寝室の方へと向かっていく。
 私もついて行くのは、おかしいでしょ?

 「あの……」


 「どうした?」

  広瀬さんが不思議そうに振り向いた。


 「私は、どこで寝たら?……」


 「ここでいいだろ?」

 広瀬さんが寝室のドアを開けた。


 「えっ? でも……」

 私がもごもごと言葉に困っていると


「夕べも寝たんだから、いいだろ? だいたい、ベッドも布団もこれしかない」


 「あ…… 私はソファーでも……」

 広瀬さんの目が、ぐっと上がり怖くなった。


「そんなところで寝かせられるか? …… わかった、安心しろ。今日は何もしない努力をする。今日はだからな」

 努力ってなに?
 今日はってなに?

 なにが安心?

 何ひとつ理解できないまま、寝室へと促されてしまった。


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