世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
*
部屋の前では詩優が待っていて。
私を見るとすごく驚いた表情をした。
それもそうだろう。
こんなにびしょ濡れで、しかも転んだせいで汚れているんだから。
「転んじゃって…」
えへへ、と笑うと詩優は私の腕をぐいっと引っ張って。
「花莉はすぐ風邪ひくから風呂はいってこい」
背中を押されて先に部屋の中へと押し込まれた私。
詩優と冬樹くんは玄関の外。
なにか嫌な予感しかしない。
まさか、ここまで来て冬樹くんに『帰れ』なんて言うんじゃ…!?
私は心配でドアに耳をくっつけて聞き耳を立てた。
だけど……よく聞こえない。
ドアを少し開けようとしたら、外側から押さえつけられているのか全然ビクともしなかった。
自分からぽたぽたと滴り落ちる雨水。
セーター越しに水が浸透して、ブラウスが肌にくっつくからなんだか気持ち悪い。
濡れたスカートもできるだけ絞ったはずなのに雨水が滴り落ちている。