世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
…これで、私は明日葉と一緒にいることができる。
とりあえず第一段階はクリア。
「ソラ……」
隣ではぽつりと呟いて体を小刻みに震わせる明日葉。
目元を擦って、鼻をすすって…。泣いているフリだろう。
あ、明日葉も演技上手い……。
わ、私も…私も何かしなくちゃ…。
そう思っても体は怖くて動かない。
前を見ることさえできない。
私は詩優に捨てられる女のフリ。
詩優に捨てられる女…詩優に捨てられる女っ!!!
演技をするために自分にそう言い聞かせる、けど……
また、なんだか悲しくなってくる。もし、本当にいつか捨てられてしまったら、って現実のことを考えてしまうんだ……。
詩優はそういう人じゃないのはわかってるけど……私たちがずっと一緒にいられる保証なんてどこにもない。
私はゆっくり後ろを向いて、顔を上げる。
詩優と目が合って…、私はゆっくり口を開いた。
「…私のこと、捨てちゃうの……?」
ぽたりとこぼれ落ちてしまったのは涙。
演技のはずだったのに涙なんて……。でも、これはこれでいいのかもしれない。