世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ




これは演技。
このあと返ってくる返事もわかってる。わかってるのに……



詩優はなぜか何も言わないで口を閉じたまま。




…詩優?




「そんな可哀想なお姫様は俺らがたっぷり可愛がってあげるから♪
安心してこっちにおいで」




後ろから聞こえてくる男の声。

目の前の彼はぎゅっと拳を強く握っているのがわかった。




「…交換だって言ったのはそっちだろ。空木乃愛をこっちに渡せ。あと、そこに転がってる2人も回収する」




それから詩優は私の言葉に答えることはなく、そう言って私の後ろを指さした。
“2人”というのは空木と久我のことだろう。





「空木乃愛と交換はいいが…こいつら2人は雷龍にとっても敵のはずだろ?助ける義理はねぇはずだ」


「…助ける?」





「違ぇのか?俺にはそういう意味に聞こえたが」


「そんなわけねぇだろ。こっちもその2人には恨みがあるからな。
その恨みを晴らしたあとに……どっかに捨ててやるさ」





詩優がそう言ったあとに大きな笑い声が倉庫内に響いた。
周りの男たちが一斉に笑うから、思わず耳を塞ぎたくなる。




< 512 / 839 >

この作品をシェア

pagetop