世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
これは演技。
このあと返ってくる返事もわかってる。わかってるのに……
詩優はなぜか何も言わないで口を閉じたまま。
…詩優?
「そんな可哀想なお姫様は俺らがたっぷり可愛がってあげるから♪
安心してこっちにおいで」
後ろから聞こえてくる男の声。
目の前の彼はぎゅっと拳を強く握っているのがわかった。
「…交換だって言ったのはそっちだろ。空木乃愛をこっちに渡せ。あと、そこに転がってる2人も回収する」
それから詩優は私の言葉に答えることはなく、そう言って私の後ろを指さした。
“2人”というのは空木と久我のことだろう。
「空木乃愛と交換はいいが…こいつら2人は雷龍にとっても敵のはずだろ?助ける義理はねぇはずだ」
「…助ける?」
「違ぇのか?俺にはそういう意味に聞こえたが」
「そんなわけねぇだろ。こっちもその2人には恨みがあるからな。
その恨みを晴らしたあとに……どっかに捨ててやるさ」
詩優がそう言ったあとに大きな笑い声が倉庫内に響いた。
周りの男たちが一斉に笑うから、思わず耳を塞ぎたくなる。