世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
「…もっとこっち来て」
そう言われて、詩優の方へと目を向けると……
隣にいる彼と離れていることに気づいた。
わざとじゃない。
詩優を避けるためじゃないのは本当。ただ、恥ずかしくて無意識のうちに1番端っこにいただけ。
それを誤解されたくなくて、お湯が溢れないようにゆっくり詩優のほうへと近づく。
物理的な距離をなくして、ちゃんと詩優と話したい…。
玄武の倉庫に行ったことを怒らせてしまったのならちゃんと謝って……詩優とちゃんと仲直りがしたい。
心臓の音、聞こえませんように…
そう祈って、詩優とピタリと肩が密着するまで近づいた。
今だ…。
ちゃんと話そう。ちゃんと話さないと…
大きく息を吸って、詩優に声をかけようとしたら
「お前あの時、演技じゃなかっただろ」
先に詩優の声が聞こえてきて、言葉を飲んだ。