世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
“あの時” “演技”
で思い出したのは玄武での倉庫の出来事。
今の言葉から、私の演技のことだろう。
“お前”って言われたし…。
もしかして、私が泣いたこと…?
あの時、私は現実で詩優に捨てられてしまったら…と考えていた。ずっと一緒にいられる保証なんてないって思ったから……。
私のあの涙は、演技とはいえ詩優を困らせることになってしまったんだろうか…。
困らせてごめんね、と謝ろうとしたら
「俺は花莉が思ってる以上に花莉のこと好きだから。
たぶん…つーか絶対、花莉よりも俺のほうが花莉のことが好き。だから俺が花莉を捨てるとか100パーセントねぇから」
彼はそう言って私の頭を撫でてくれる。
…濡れた、大きな手。お風呂に入っているせいでいつもより体温が高い。
彼の言葉には嘘偽りは感じられなくて、どんどん加速していく心臓。
詩優は私のことを想ってくれている、それはよくわかった。よくわかったけど…
「私だって詩優のこと好きだもん…」
私のこの詩優への想いは負けていないと思う。