世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ




予想外の行動にドキドキして、びっくり。
私はただ至近距離にいる彼を見つめた。



触れるだけですぐに彼は離れて、目元を優しく指で拭ってくれる。
それから、体を引き寄せられて強く抱きしめられた。




「よしよし」




抱きしめながらぽんぽんと頭を撫でてくれる詩優。




彼の甘い匂い、体温に包まれてドキドキと加速する鼓動。
さっきの感動よりもドキドキのほうが遥に上回って、不思議とそれ以上に涙は溢れてこなくて。




詩優が魔法使いだと本気で思った瞬間。




「目、赤くなるし、水分もなくなるから。これ以上泣くなよ」




上から降ってくる声。
その声がすごく優しくて、心が熱くなる。




こくりと頷けば彼の手が耳に触れた。
なぞるように触れて、少し冷たかった耳たぶに触れた温かい体温。




私が耳たぶにつけていたのは、以前詩優からもらった赤いマグネットピアス。
彼が触れていないほうの耳には赤いイヤーカフ。




もちろん首にはペアリングをネックレスにしてつけている。
全部、詩優とお揃いの大切なもの。



< 613 / 839 >

この作品をシェア

pagetop