世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ
私はじっと詩優を見つめた。
できることなら分身したい。
それでもう1人の私に私が戻るまで詩優を守ってもらいたい。
なんて思っていたら、彼はただまっすぐ見つめ返してきて「キス?」と聞いてくる。
「ち、ちがう…!!」
…そういえば、詩優はずっと見つめていたらキスを求めているものだと思ってしまうんだった。
いまだにそれはなんでだかよくわからないけど…。
「知らない人について行ったらだめだからね…っ!!」
私は詩優にそう言ってから少し先にある化粧室まで小走りで向かった。
化粧室に入って、台の上に鞄を置いてから化粧ポーチを取り出す。
鏡を見ると、思ったより酷い顔じゃなくて少し安心。水に強い化粧品を使っていて良かった。
フェイスパウダーを手に取って、化粧直し。
まさか、映画を観てこんなに泣いてしまうとは…。思ったより酷い顔じゃなかったけど、次からは泣きすぎには注意が必要。