モブ子は今日も青春中!
先生 ①
教室のかばんから黄色いTシャツを取り出し、校舎を出る。
なんで、黄色と青を間違えるのか、こんなに目立つ色なのにかばんに入れていて気づかないのか、本当に自分のはた迷惑さ加減にため息が溢れる。
兄ちゃん、ごめん。
足がまた、自然と駆け足になる。
体育祭のどの競技より、真面目に走ってるわ、私。
まだ3年の全員リレーまでには時間があったけれど、早く持っていってあげたくて、私はこの前偶然見つけたグラウンドへの近道を通ることにした。
校舎の中庭、大小の木々が茂った奥に、グラウンドのそばまで抜けられる、校舎と校舎の隙間があるのだ。
おとな2人がすれ違えるくらいのその路地に入ったとき、
「ひゃっ!」
私は目前に迫ったものにびっくりして足を止めた。
「んー?なんだ、三津谷かなめか。焦らせんなよ。」
タバコの火を地面で消して、しゃがんでいた人物が立ち上がる。
「…桜井先生。」
そこには、なみの兄であり、この学校の理科教諭であり、『黄昏のロマンス』の攻略対象である、桜井英介先生がいた。