モブ子は今日も青春中!

状況を整理しました


 善は急げだ。

 なみに謝り、早々になみの家をあとにする。
 おばさんが残念がっていたけれど、申し訳ない。『今度はゆっくり遊びにきます。』と伝え、玄関を出た。


 状況を少し整理しよう。

 私は夏休みのある日、自転車から転倒、坂の上から転げ落ち、塀に激突。頭を強打して意識を失った。

 数日後、目覚めた私は、この世界がゲーム『黄昏のロマンス』の世界であること、そしてそれは前世の私がしていた恋愛ゲームであること、そのゲームの主要キャラの中で、私はモブキャラとして転生したことを思い出した。

 それから私は、ここがゲームの世界でも、自分らしく生きていたいと思い、過ごしている。

 だけど、私はなぜあの日、坂の上にいて事故に遭ったのか、思い出せずにいる。
 さらに、事故に遭う以前の私は、兄が大好きで、ゲームが大好きで、休日は家から出たがらなかったという。それも、思い出せずにいた。

 わからないことがたくさんあるけれど、部屋のパソコンゲームを調べれば、何かが変わる気がした。

 
 次第に足どりが早くなる。気持ちが焦っている。

 
 近道をしようと、先ほど立ち寄った公園を通り抜けようとしたときだった。


「かなめ先輩…?」

 すれ違う人物に声をかけられる。


「久し振りですね!」

 最後の攻略対象…。

 高倉優馬だった。


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