懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました


◇◇◇◇◇

由佳とアフタヌーンティーを楽しんで別れた後、里帆は自分のアパートとは逆方向の電車に乗っていた。
向かうは亮介のマンション。彼に今の自分の気持ちを伝えるために。

由佳には曖昧に返事をしたものの、里帆自身もこの想いの行方を知りたい。たとえ行き場を失ったとしても、自分を誤魔化したり騙したりしたくなかった。

亮介のマンションへは、同行した外出先から忘れ物を取るために寄ったことがある。
駅の改札を抜け、スマートフォンの地図アプリの指示に従う。

ホテルでお茶をしていたときに広がっていた雲は、今も里帆の頭の上に居座っていた。
陽が落ちて気温はぐんと下がり、吐き出す息が白く煙る。それでも寒さを感じている余裕が里帆にはない。
なにしろ、これから亮介に好きだと伝えにいくのだから。

思えば自分から告白するのは初めて。かといって告白されてばかりのバラ色だったわけではない。
恋愛経験は大学生時代の一度きり。どちらかといえばお粗末な経験数だ。

二十六歳にして人生初の告白。緊張しないなんて無理だろう。


「あーどうしよう! 本当にできるのかな」
< 114 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop