懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
「昨日は変な茶番に付き合わせてすみませんでした」
「それはいいけどさ。ってか、俺だって里帆ちゃんとの約束を破ってばらしちゃったわけだし」
そこは申し訳なく思うのか、修太朗は謝ってからコーヒーに口をつけた。
無理を言ったのは里帆のほう。亮介に諦めてもらうには、父親だとバレたのはかえってよかったのかもしれない。二度までもお金をほしがる里帆を亮介は蔑むだろう。
そう考えるといたたまれない気持ちになるが、それも自分で選んだ道だ。今はとにかく亮介の未来と、お腹の子どもの幸せを願うだけ。
「お祝いのつもりで買ってきたんだけど、せっかくだから食おうか」
修太朗は小さな白い小箱を開き、中から取り出したシュークリームを包みごと手渡した。
いつだったか、亮介もこうして買ってきてくれたことがあったっけと思い出す。仕事のいっさいを書き留めていたノートの隅に、小さく〝シュークリーム〟と書いていたのを亮介に見られた数日後、彼が人気店のものを買ってきてくれたのだ。
それもひとりでは食べきれないほどの量を。『こんなに食べきれません』と言いつつ、亮介とふたりでペロリと平らげてしまった。
そんな淡い思い出が胸をチクチクと刺す。