懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
亮介が感じている子どもへの責任をお金で解決しようと発した言葉だ。
「違います!」
そう思われたら元も子もない。
里帆は動揺で震える声を振り絞って、きっぱりと否定した。
「半年前の手切れ金だって里帆は受け取ってないじゃないか」
どうしてそれを……?
驚き、体の芯がヒヤリと冷え込む。
「俺のためを思ってそうしたんだろう? 里帆のしたことは全部、俺のためだった。それなのに一瞬でも里帆を疑って……。本当にごめん」
「違うんです」
「それじゃ、どうしてお金を受け取らなかった?」
答えを用意できず、考えても頭はまとまらない。亮介がここへ来ることが事前にわかっていれば、もっともらしい回答ができたのに。
そう後悔するのと裏腹に、彼のぬくもりにこのまま甘えてしまいたくなる。無理にすればできるのに、腕を振りほどけなかった。