懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
「仮にそうだとしても、俺はもう里帆を手放す気はない」
強く、それでいて優しい眼差しだった。
再会してから初めて見せられた、懐かしい視線に胸が熱くなる。
「でも」
「〝でも〟も〝だけど〟も、もうナシ。俺には里帆が必要。それでいいじゃないか。それとも里帆は、もう俺とやり直したくない?」
ここで昨日のように〝もう好きじゃない〟と言って、亮介を解放してあげたほうがいいのかもしれない。里帆のわがままに付き合わせたくはないから。
でも、そんな嘘はもうつけない。
首を横に振る。頭ではなく心が求める答えしか用意できなかった。
真顔だった亮介が、ふとその表情を解く。里帆をもう一度引き寄せ、強く抱きしめた。
「順番は逆になったけど、里帆、結婚しよう」
もう二度と会えないと思っていた亮介の口から、思いがけない言葉が飛び出す。
夢じゃないかと疑いたくなるような事態だった。