懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
ふたりの未来はない。
里帆の歩く隣に亮介はいない。
それが当然だと思っていた。
いきなり舞い降りた奇跡が、里帆の不安定な心ごと包み込む。
「……はい」
そう答えるだけで精いっぱいだった。
「ありがとう、里帆」
亮介の背中に腕を回してしがみつく。
「亮介さん……」
半年ぶりに亮介の香りに包まれ、胸の奥底に封印していた想いが溢れてくる。
「亮介さん」
何度名前を呼んでも足りない。里帆がうわ言のように繰り返すと、亮介はそれに応えるようにトントンと優しく背中を叩いた。
お互いのぬくもりを確かめ合い、時間が静かに過ぎていく。しばらくそうして抱き合った後、亮介はそっと里帆を解放した。