懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
ひとりで産んで育てていけるのか。シングルマザーの道を選んだ里帆を、将来この子は恨んだりしないだろうか。
ところがそれが徐々に責任と喜びに変わり、少しずつ大きくなっていく姿をエコーで確認するごとに愛しさが募っていく。小さな存在が、里帆に勇気をもたらせたのだ。
この一体感が途方もなく幸せ。
里帆は愛を込めてお腹を撫でた。
「立川さん」
不意に成島に呼ばれて、顔を上げる。
「昨年の夏のことを謝らせてください。会長命令とはいえ、悪いことをしました」
「いえっ、それはもういいですから」
成島の立場では命令に背けなかっただろう。
あのときは、なんてひどいことを冷静な顔をして言うのかと恨んだが、それは怒りのぶつけ場所がなかったせい。頭では成島はなにも悪くないとわかっていたから。
「そうはいきません。社長に無理を言って今日ここへ連れてきてもらったのも、立川さんに謝りたいからだったのです。申し訳ありませんでした」