懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
里帆の制止も聞かずに成島が頭を下げる。
「本当に大丈夫ですから。もう気にしないでくださいね」
急いで顔を上げてもらった。
「そうだ、室長。亮介さんに、まだ後任の秘書がいないそうですね」
「そうなんですよ。いらないの一点張りでね」
「里帆は知らないだろうけど、社内では〝私がやりたい!〟って立候補者がいっぱいいるんだよ。人事部でも私の後輩が、いきなり秘書検定受けたりして」
由佳がクスッと笑う。
「私が選抜した優秀な女子社員を何人もリストアップしているんですが、なかなか首を縦に振らない。本当に困った社長です」
成島が愚痴っぽくつぶやいたところで、タイミング悪く亮介がコーヒーの香りとともに現れる。
「誰が困った社長だって?」
涼し気な目もとを鋭くさせて成島を見た。