懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
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ふたりに夕食を食べていってもらえばよかった。
里帆がそう思ったのは、ふたりが帰った後のこと。チキンのホワイトシチューだから人数が増えても問題なかったのだ。
里帆がシチューをあたため直していると、コーヒーカップを下げてきた亮介がうしろから抱きすくめる。
「お父様、許してくれませんでしたか」
亮介が今朝、ふたりのことを報告するために実家へ行ったのは里帆も知っていた。
その後、亮介からそれについてなんの連絡も入らなかったのは、うれしい知らせを得られなかったためだろう。里帆を抱きしめる腕の力からも、それは感じられた。
「まぁまだ一回目だからね。いきなり俺に子どもができたと言っても、驚きのほうが大きいだろ」
「……そうですよね」
別れさせた女が実は妊娠していたなんて、父親にしてみたら〝してやられた感〟でいっぱいだろう。もしかしたら、心象は半年前より悪いかもしれない。
「里帆は心配するな。いくら反対されたって俺は里帆と子どもを一生守っていくから」