懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
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ある夜、里帆は亮介に連れられてある場所へやって来た。
そこへは以前、一度だけ一緒に来たことがある。亮介の友人が経営しているという、高級ホテルにあるフレンチレストランだ。昨年の里帆の誕生日前日に、サプライズで亮介がお祝いをしてくれた思い出深い場所でもある。
前回は半個室だったが今回は完全個室のため、特別感がさらに増す。窓の外、眼下に広がる景色はあの夜と同じように星屑を散りばめたよう。
テーブルについてすぐ、亮介は「ちょっとごめん」と席を外した。
トイレにでも行ったのかなと思いながら、せっかくだからとスマートフォンを取り出して夜景を撮影。子どもが生まれて大きくなったら、〝パパとふたりでこんなに素敵な夜景を見たの〟と教えてあげる場面を想像して、自然と顔が綻ぶ。
なにを見ても、なにをしていても、ふたりの間に子どもの存在がある幸せを噛みしめた。
「こんばんは、里帆さん」
夜景に夢中になっている里帆に声がかかる。振り向いてみれば亮介の友人の隼、この店のオーナーだ。