懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
「こ、こんばんは」
慌てて立ち上がって頭を下げたが、「座って」とスマートに椅子を引いて座らされてしまった。
「おめでたなんだってね」
亮介から聞いているようだ。
メタルフレームの眼鏡の奥で隼の目線がお腹へと下がり、なんとなく気恥ずかしい。
「……そうなんです」
「おめでとう」
はにかんでうなずくと、隼は爽やかな笑顔を浮かべた。
「ふたりが一緒にいるのをまた見られるなんてうれしいよ」
里帆が手切れ金をもって姿をくらませた話も、隼なら聞いているだろう。
決まりが悪くて返す言葉を見つけられない。里帆は曖昧に微笑むしかなかった。
「里帆さんが消えた頃の亮介、かなり荒れてたんだ」
「えっ……」
「酒にもずいぶん付き合わされたよ」