懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました

彼の気持ちを疑っているのではない。
転院先の病院にも仕事を半休にして付き添ってくれたり、ドクターの話に真剣に耳を傾けたり、懸命に父親になろうとしているのはひしひしと伝わってくる。

でもだからこそ、キスをする気持ちにならないのかもしれない。
つまり里帆を女性としてではなく、母親としてしか見えなくなったのではないかと考え始めていたのだ。

そんなところにきて今夜のプロポーズ。そしてスイートルームでの特別な時間。
もしかしたら亮介は、無理して里帆を女性として見ようと思っているのではないだろうか。
場所を変えれば、そんな気分になれるかもしれないという期待を込めて。

……でも、大きくなったお腹を見て、気持ちが萎えないかな。

いくら里帆が前に出てこないタイプのお腹をしていても、八ヶ月にもなればそれなりにふっくらとしている。
胸がサイズアップしたのは喜ばしいとしても、ついでにお尻は大きくなったし、腰回りもしっかりしてきた。

そんな体で受け入れてもらえるのかな。

不安と緊張が入り混じって、なんともいえない気分になる。
とはいえ、いつまでもお風呂に浸かっているわけにもいかない。気分が悪くなる前に上がると、パウダールームにはバスローブの代わりにかわいらしい桜色のベビードールが置いてあった。
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