懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました

妊婦用なのか、お腹のあたりがゆったりとしたロング丈だ。透けているわけではないが、レース使いもされたセクシーさを兼ね備えている。
これも亮介が用意させたようだ。
羽織るものまで置いてあり、それを着てバスルームのドアを開けると、なぜか電気が落とされていた。

あれ? どうして? 入るときに消してないよね?

不思議に思いながら一歩出た里帆は、そこで足を止めざるを得なかった。

リビングへと続く通路にキャンドルがいくつも灯されていたのだ。それが等間隔に二列置かれ、キャンドルロードを作っている。
やわらかな光に導かれるように里帆が足を進めると、それはべつの部屋へと続いていた。

半分だけ開いている扉を抜けると、思いがけない光景が里帆の目に飛び込む。
大きなベッドの上に真っ赤な花びらでハートマークを描いた、デコレーションがされていた。


「わぁ、すごい」


思わず声を漏らしたそのとき、うしろから伸びてきた亮介の腕にふわっと抱きすくめられた。瞬間、同じシャンプーの香りに包まれる。


「里帆」
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