懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました


「あの箱?」


里帆の問いに亮介が微笑んで答える。
里帆は言われるままベッドに上がり、ハートを崩さないように箱を持ち上げた。

なんだろう……?

ワクワクしながら蓋を開けると、手のひらに乗るくらいの小さな箱がある。
ワインレッド色のベルベット素材。見た目からそれがなんであるか、すぐにピンときてしまう小箱だ。


「亮介さん、これ……」


里帆の勘違いでなければ、中身はリングだ。
戸惑う里帆をベッドから下ろした亮介は、いきなりその場にひざまずいた。


「立川里帆さん、俺と結婚してください」


まるでおとぎ話の王子様のよう。
里帆の手を取り、甲にそっと唇を押しあてる。


「里帆、結婚しよう」


繰り返し言われて頭がポーッとしてくる。ロマンチックな演出と言葉の誘惑に酔わされて、さっきから胸の高鳴りが激しい。
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