懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
「そうなんですね!」
途端に目を輝かせた野崎は、その先を聞こうと思ったのかデスクに両手を突いて身を乗り出した。
「奥様とはどこで知り合ったんですか? どんな女性なんですか? 何歳ですか? 写真とかありませんか?」
先ほどの忠告は彼の心に響かなかったのか、顔を近づけてぐいぐい迫る。
「……野崎」
亮介の冷ややかな声のトーンで我に返った野崎は、ハッとして体勢を元に戻した。
「す、すみませんっ! 川内さんのところで修業してまいります!」
逃げるが勝ちといった様子で、野崎は先輩秘書である恭子を引き合いに出して社長室を飛び出していった。