懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
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お腹があまり目立たない里帆だったが、臨月まであと少しを迎えてからはさすがに大きくせり出すようになり、動きを制限されるようになった。
健診では相変わらず鉄分不足傾向ではあるものの、特に気になる点はなく順調である。
なるべく動いたほうがいいとドクターに言われているため、気分さえよければマンションの近くを散歩したり、近くのスーパーへ買物に出かけたりして過ごしている。
来客を知らせてインターフォンが鳴ったのは、里帆がちょうど外から戻った夕方のことだった。
モニターには年配の女性がひとりと、里帆と同じ歳くらいの女性が映っていた。
誰だろうと思った直後に、もしかしたらとある予感が頭をかすめる。
「……はい」
恐る恐る応答すると、ふたりの笑顔がモニターいっぱいになった。
『亮介の母の喜代です。妹の杏です』
里帆の予感は的中。ふたりが順番に前に躍り出る。