懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
「ありがとうございます」
めいっぱい笑顔を浮かべたが、泣き笑いのような表情になっているのは自分でもわかった。
ふたりをリビングに案内し、お茶を淹れてキッチンから戻ると、杏が大きな紙袋をふたつテーブルの上に並べる。
「ちょっと気は早いかなと思ったんだけど、母とふたりでいろいろ買ってきたの」
喜代と杏が、その中から次々と取り出していく。
新生児用の肌着にロンパース、カバーオールなど盛りだくさんだ。中にはクマやネコの着ぐるみなどもあり、里帆は思わず「かわいい!」と手に取った。
「まだ性別がわからないってお兄ちゃんが言ってたから、白とか黄色とかの無難な色にしてみたんだけど」
実は今日の健診で性別は判明しているが、亮介に真っ先に知らせたいため、ここはぐっと我慢だ。
里帆も少しずつ買い揃えてはいるものの、まだ足りないかなと考えていたところだったため、とてもありがたい。
「それと、これは里帆さんに」
「えっ、私にまでですか?」