懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
綺麗にラッピングされた四角い箱を杏が差し出す。
「出産経験のある友達が、このクリームは妊娠線によく効くって言ってたから」
そんなことまで気遣ってもらい頭が上がらない。
「うれしいです。ありがとうございます」
思いがけない訪問とたくさんのプレゼントに感謝の言葉をいくつも並べたい気分だ。
「初孫だから、私もついうれしくなっちゃって。……あ、だけど、あまりプレッシャーに感じないでいいのよ? 男の子を産まなきゃとか。男の子でも女の子でも、どっちでも喜ばしいのに変わりはないから」
「里帆さん、美人さんだから、どっちも絶対にかわいいだろうなぁ」
義理の母と妹になるふたりからここまで歓迎されるとは、予想もしていなかった。挨拶もせずにいた自分が恥ずかしくなる。
「それから、里帆さんのご家族のことは亮介から聞いたわ。ご両親を亡くされているんですってね」
「はい、高校生のときに母を、大学生のときに父を亡くしました」