懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
喜代と杏が顔を見合わせて「ね?」と仲良くうなずき合う。里帆にまで目配せをよこすから、亮介の手前どう反応したらいいのか困り、急いで話題を変えた。
「あの、亮介さん、お母様と杏さんがいろいろと買ってきてくださったんです」
テーブルいっぱいに広げたものを指差す。
「そうだったのか。助かるよ、ありがとう」
「あと少しで父親になるんですから、亮介もしっかりしないとね」
「しっかりやってるつもりだよ」
素直にお礼を言った亮介の笑顔が、不満げに反転する。
「それならいいけど、里帆さんを大事にしてあげるのよ」
「わかってるって」
うんざりした口調で言ってから、「ふたりとももう帰ったらどうだ」と追い出しにかかった。
「はいはい、新婚さんの邪魔ですもんね」
喜代が立ち上がるのを見て、杏も帰り支度を始める。